三回も婚約破棄された小リス令嬢は黒豹騎士に睨まれる~実は溺愛されてるようですが怖すぎて気づきません~
2
屋敷に着くとキールは応接室にヴィオラを通した。ヴィオラはふかふかのソファに座らされ、むかいにはキールが座っている。
(やっぱり手足が長い……椅子に座ったら足が余ってしまって大変そう)
緊張しつつもそんなことを考えられるくらいには少し余裕が生まれている。だがキールと目が合うとそんな余裕は無惨にも粉々に砕かれてしまった。
(やっぱり、怖い……)
鋭い両目はヴィオラをしっかりと捉えている。その目に見つめられてしまったら二度と逃げることはできないのではないか、本当に黒豹のようだとヴィオラは思う。
「疲れていないか?」
「え、あ、はい、大丈夫です……」
(怖い、けどこういうところは優しいのね)
「それならいい。それではどうして俺が君を婚約者に選んだのか理由を説明しよう。君は魔力が枯渇するから食べ物を食べ続けるんだよな」
キールに言われてヴィオラは食べ物を頬張りながらうんうんと大きく頷いた。
「知っているかもしれないが、俺の魔力は異常に多い。数年前、大魔獣を倒すことができたのもその魔力のおかげだ。だが、この魔力は衰えることを知らずひたすらに増え続け、そのせいで俺はたまに発作が起こる。魔力放出の発作だ」
それは魔力が通常より多い人間が起こす発作で、その発作を起こすとその人間は一時的に自我を失いその場で魔力が放出し暴れ出してしまう。魔力の放出が終わると自我は戻り落ち着くが、それによる被害は災害級とも言われている。その発作を起こす人間は数百年に一人とも言われるほど珍しいものだが、キールは運悪くその発作を起こすほどの魔力の持ち主だった。
「発作の数日前から前兆がある、その間に俺は魔力の放出があっても問題ない場所へ移動している。誰一人いない広大な土地で魔力の放出を行い、何とか被害が出ないようにしていたんだが」
そんな都合の良い広大な土地がいくつもあるわけではない。災害級の被害を起こすため広大な土地はたった一度で見るも無惨な姿に変わり、二度と使えなくなってしまう。
「このままだと魔力の放出を行える土地がなくなってしまう。それは俺にとっても国にとっても死活問題だ。そんな時、君が俺とは反対の魔力が枯渇してしまう人間だと聞いたんだ。国のお抱えの魔術師も君なら俺の魔力を受け止め切れるだろうと言っていた」
食べ物を頬張りながらキールの話を聞き、ヴィオラはなぜ自分がキールに選ばれたのかを何となく納得していた。なるほど、それならば確かに自分が適任なのかもしれない。だがしかし。
「それはつまりキール様が魔力放出を行うときに私がその場にいて災害級の被害を受け止める、ということでしょうか?」
(やっぱり手足が長い……椅子に座ったら足が余ってしまって大変そう)
緊張しつつもそんなことを考えられるくらいには少し余裕が生まれている。だがキールと目が合うとそんな余裕は無惨にも粉々に砕かれてしまった。
(やっぱり、怖い……)
鋭い両目はヴィオラをしっかりと捉えている。その目に見つめられてしまったら二度と逃げることはできないのではないか、本当に黒豹のようだとヴィオラは思う。
「疲れていないか?」
「え、あ、はい、大丈夫です……」
(怖い、けどこういうところは優しいのね)
「それならいい。それではどうして俺が君を婚約者に選んだのか理由を説明しよう。君は魔力が枯渇するから食べ物を食べ続けるんだよな」
キールに言われてヴィオラは食べ物を頬張りながらうんうんと大きく頷いた。
「知っているかもしれないが、俺の魔力は異常に多い。数年前、大魔獣を倒すことができたのもその魔力のおかげだ。だが、この魔力は衰えることを知らずひたすらに増え続け、そのせいで俺はたまに発作が起こる。魔力放出の発作だ」
それは魔力が通常より多い人間が起こす発作で、その発作を起こすとその人間は一時的に自我を失いその場で魔力が放出し暴れ出してしまう。魔力の放出が終わると自我は戻り落ち着くが、それによる被害は災害級とも言われている。その発作を起こす人間は数百年に一人とも言われるほど珍しいものだが、キールは運悪くその発作を起こすほどの魔力の持ち主だった。
「発作の数日前から前兆がある、その間に俺は魔力の放出があっても問題ない場所へ移動している。誰一人いない広大な土地で魔力の放出を行い、何とか被害が出ないようにしていたんだが」
そんな都合の良い広大な土地がいくつもあるわけではない。災害級の被害を起こすため広大な土地はたった一度で見るも無惨な姿に変わり、二度と使えなくなってしまう。
「このままだと魔力の放出を行える土地がなくなってしまう。それは俺にとっても国にとっても死活問題だ。そんな時、君が俺とは反対の魔力が枯渇してしまう人間だと聞いたんだ。国のお抱えの魔術師も君なら俺の魔力を受け止め切れるだろうと言っていた」
食べ物を頬張りながらキールの話を聞き、ヴィオラはなぜ自分がキールに選ばれたのかを何となく納得していた。なるほど、それならば確かに自分が適任なのかもしれない。だがしかし。
「それはつまりキール様が魔力放出を行うときに私がその場にいて災害級の被害を受け止める、ということでしょうか?」