Dearest 1st DREAM
───…夜。
大学を終え、バンド練習を終え、バイトを終え─…。
充実した日々が終わった。
夜中に、やっと朝出た家のドアノブに手を掛ける。
───…カチャ…。
「───純っっっ!
おかえりーっ★」
「……チカ……
来てたんや……?」
「やだな!
朝メールしたじゃんっ!」
あぁ……
そうやったな……
チカは笑って俺の顔を覗いた。
色が抜けた必要以上に明るい髪色。
胸まであるストレートのロングへア。
化粧っ気はなく、底抜けに明るい笑顔。
チカはその笑顔を浮かべながらグイグイ俺を引っ張る。
「おっ…おい?」
チカは急に振り向いたと思えば、俺の胸に飛び付いた。
「…会いたかったぁ…」
そう、呟いて。
「………」
俺はやっぱり何も言えなかった。
ただ、モノクロの世界にいるように感じて。
「───……ん………」
──…軋むベッドで、
見えない愛を探そうと必死だった。
その為にチカを抱いていた。
情けない話、
チカを好きにならなくてはいけないという責任感があった。
“愛”を知らなかった、
俺の消したい過去──…。