Dearest 1st DREAM
「……1時か……」
シャワーを浴びて、上着を羽織り、キーケースを手に取って家を出た。
春爛漫な景色の中、車を走らせる。
行き先は、俺が卒業した地元の高校。
「……高校行くん久しぶりやな……。」
春だからか久しぶりだからか分からんけど、何かワクワクしてくる。
──…高校時代、
俺は柄にもなく生徒会長をやっていた。
そして、体育祭で応援団長もこなしていた。
生徒会長と応援団長の特権を生かし──…
俺は“和太鼓同好会”を立ち上げた。
その名の通り、和太鼓を叩く部活。
和太鼓なんて叩ける機会がなかなかないから、応援団で演奏してみたくて立ち上げたのが理由。
応援団長としての要望は
生徒会長の俺がすんなりOK。
すぐに廃部になるかと思っていたけれど…
意外にこれが今日まで細々と続いていた。
さっきの電話相手、
“高山 英寿”は
その和太鼓同好会の現部長。
卒業して数年経つのに、
未だにこうやってOBとして部活に招かれる。
────…パタン……。
エスティマのドアを閉め、見事な桜坂を見上げて笑顔になる。
──…車で走り続けて小一時間。
昔通っていた高校にやっと辿り着いた。