Dearest 1st DREAM
この春から、
晴れて大学生になった俺は地元を離れて一人暮らしを始めた。
同じ大学に進む吾郎も、
同じように一人暮らしを始め、わずか五分しか離れていない物件に越してきた。
以来──…
頼んでもいないのに、
毎朝吾郎は朝飯を作りにやって来る。
「吾郎って母親みたいやよなー…」
呟くように言うと、
吾郎はふっと笑った。
「昔からだろ。」
「……まぁな。」
俺もまた、同じように笑った。
「……母さんか…」
俺の母親は既に他界している。
俺が小学校三年の時に癌が発覚し、若くして亡くなった。
──…それ以来、
親父の転勤で転々としたけど、結局は生まれ育ったこの地に舞い戻って来た。
吾郎とはその時に家が隣同士だったからすぐに仲良くなって。
世話好きで男のクセに料理が上手い吾郎。
その頃からまるで母親のような存在だった。
だから、
吾郎には口にこそ出さないけれどマジで感謝している。
「──…行くか。」
「おう。」
吾郎にそう言うと、
俺はシルバーに光る愛車の鍵をくるくると回した。