王子様が、呪われた私を気に入ったみたいです。
鏡に向かっていつものおまじないを唱えていると、コンコンとドアをノックする音がした。
「美織《みおり》、おはよう」
「おばあちゃん、おはよう!」
おばあちゃんがニコニコしながらこっちを見ている。
「朝ごはんできてるよ。……今日もそんな眼鏡をかけてるのかい? 美織は本当はすごく可愛いのに、もったいないねえ」
「おばあちゃん……。そう言ってくれるのは嬉しいけど、私が人と関わったら何が起こるかわからないから」
そう言うと、おばあちゃんがため息を吐いた。
「また、『私は呪われている』かい? 美織の母さんが事故で亡くなったのも、お友達が怪我や病気をしたり、家庭の事情で引っ越したりしたのだって、美織のせいじゃないんだって、いつも言っているじゃないか」