そして外交官は、契約妻に恋をする
「桜井さんが、香乃子が離婚すると言うものですから、いったいなにがあったのかって。香乃子さんなにも言わないで、家からも出ていってしまったそうよ。だから、最初から一年という約束で結婚したと聞いていましたけど?って言ったわ」
「なんだって! どうしてそんな」
俺は頭を抱えた。母はプライドが高い。おまけに自分の息子が最高だと思っているのか、結婚相手は向こうが結婚してくれと頼んできて当然だと思っている節があった。香乃子との見合いでもそうだ。『こっちから先に返事をする必要あるの?』と、お高くとまったのだ。
そんな母に呆れ、俺が余計なことを言ってしまった。
『俺は彼女が気に入ったんだ。たとえ一年でもいいから結婚してくれと頼むくらいにね。だから、ちゃんとこっちから返事をしてくれないと困る』
彼女じゃなければ無理してまで結婚する気はないとまで言ったはずだが、母はよりによって〝一年でもいいから〟というところだけ覚えていたのか。
「最初から一年だけのつもりだったんでしょ、香乃子さんは」
「なんだって! どうしてそんな」
俺は頭を抱えた。母はプライドが高い。おまけに自分の息子が最高だと思っているのか、結婚相手は向こうが結婚してくれと頼んできて当然だと思っている節があった。香乃子との見合いでもそうだ。『こっちから先に返事をする必要あるの?』と、お高くとまったのだ。
そんな母に呆れ、俺が余計なことを言ってしまった。
『俺は彼女が気に入ったんだ。たとえ一年でもいいから結婚してくれと頼むくらいにね。だから、ちゃんとこっちから返事をしてくれないと困る』
彼女じゃなければ無理してまで結婚する気はないとまで言ったはずだが、母はよりによって〝一年でもいいから〟というところだけ覚えていたのか。
「最初から一年だけのつもりだったんでしょ、香乃子さんは」