そして俺は、契約妻に恋をする
 真倫が離乳食を気に入ったようなので、このまま食べさせたい。

 真司さんが頼んだコーヒーも届いた。

 ひと呼吸おいて少し気持ちを落ち着けよう。

 腕時計で時間を確認すると、もう少しで夜の七時だ。話をしながら彼に夕食を出してあげたほうがいいだろうし。

 もし、彼が食べると言えばだけれど。

「今何カ月?」

「七カ月です。やっと下の前歯が生えてきて」

 真倫も彼が気になるらしい。もぐもぐ離乳食を食べつつ顔を彼に向け、つぶらな瞳でジッと見ている。

「抱いてもいいか?」

 断れるはずもない。頷いて真倫の口を拭き彼の手に託す。

「かわいいな。まりん、パパだぞ? わかるか?」

 最近人見知りが始まってきたのに、真司さんは大丈夫らしい。きゃっきゃと喜んでいる。

 この光景を私はどう受け止めていいかわからず、笑顔が歪む。

 どうしたらいいのか……。

 ファミレスを出る頃には、真倫は寝てしまった。

「ロンドン勤務は終わったんですか?」

「ああ、最低でも一年は東京だ」

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