そして外交官は、契約妻に恋をする
「きゃー、ちっちゃい前歯が下だけ生えてるーかっわいい」

 帽子に付いている丸い耳を触ったり、リエちゃんが真倫と戯れている間に、私は桜を見上げた。

 青空の下、ちょうど満開の桜が眩しい。桜の名称というわけではない普通の公園だけれど、家族連れや恋人たちが私たちのようにお弁当を広げている。

 桜の開花時期はとても短い。

 もしかしたら真司さんも、李花さんとどこかで見ているかな……。

 リエちゃんに「実はね」と、真司さんと会った話をした。

 それとキ喜のランチタイムの話も。

「まずランチタイムだけど、やってみたらいいじゃない! 香乃子ならできるよ。ワンプレートにしちゃえば会計だけで済むんじゃない? カレーは?香乃子のスパイスカレーとっても美味しいし」

「そっか、カレー。そうだね」

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