そして外交官は、契約妻に恋をする
▽真司
▼真司
ラグにソファー、家電に基本的なキッチン用品も全部揃った。なんとか形になった部屋を見渡しホッと胸を撫で下ろす。
「ありがとう。助かったよ」
「いえいえ。こちらこそありがとうございました」
百貨店の外商担当者を見送り玄関の扉を閉める。
香乃子と再会を果たした次の日。早速友人の不動産屋にマンションの相談をした。
条件はセキュリティーがしっかりしていて子育てに向いた部屋。日当たりがよく高層階ではなく、それなりに広いバルコニーか庭がほしい。滑り台とかブランコとかが置けるように。夏はビニールのプールも広げなければ。
そしてちょうどいい低層のマンションが見つかった。
わくわくと胸躍らせて部屋を決め、実家が利用している百貨店の外商を呼び、急ぎ家具を揃えた。なにしろ時間がない。たった三日で住むまでにこぎ着けるという異例の速さだ。
これも頼りになる青扇の後輩、氷室仁のおかげだ。
「なんとか形になりましたね」