そして外交官は、契約妻に恋をする
「やってみる。教えてくれ」

「はい」

 やる気満々の様子に思わず笑った。

 体の洗い方を手助けしたりして、と言っても彼は器用だし飲み込みが早いので安心して見ていられた。

 真倫も気持ちよさそうで、明るく楽しいバスタイムが終わる。

「濡れちゃいましたね」

「どうせ着替えるんだ。構わないさ。先にゆっくり入っていいよ。真倫は俺が見てるから」

「ありがとうございます」

 お言葉に甘えて先に入らせてもらうことにした。

「そこに入浴剤がにいろいろあるから使って」

 真司さんがそういうと、彼の腕の中で真倫が「ばぶー」と同意するように手をばたつかせる。

「ほら、真倫も使えって言ってるぞ」

「そうなの?」

「ぶーぶー」とご機嫌の真倫を見て、あははと笑い合った。

 入浴剤は色々ある。薔薇の花の形のものやハーブの香りに薬草。私が選んだのは炭酸ガスがでる森林の香りというものだ。

 ひとりでゆっくりお風呂に入るのは、本当に久しぶりだ。

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