そして外交官は、契約妻に恋をする
 今日は土曜日。仕事は休みだという彼を断るのも悪い気がして結局一緒に行くことにした。

 それに彼はもっと真倫と一緒にいたそうだ。

 大きな荷物を肩に掛けて持ったまま彼は真倫を抱こうとするので、ベビースリングを勧めた。

「荷物はベビーカーに載せるから大丈夫ですよ」

「そうか? じゃあ、そうしよう」

 さっそくベビースリングの紐を調整して真倫を抱かせる。

 真倫はすっかり真司さんに懐いたようでご満悦だ。

 夕べは広いベッドで、真倫を真ん中にして三人で寝た。振り向くとどうしても真司さんが目に入り落ち着かなかったけれど、かつてないほど心に安心感が広がる気がした。

 たぶんここ数日不安な夜をアパートで過ごしたせいだ。

『今まで大変だっただろう?』

 ポツリと彼が言った。

『友だちがいろいろ助けてくれたんです』

『勤めていた会社の同僚?』

 どうして知ってるの?という疑問が顔にでていたらしい。

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