そして外交官は、契約妻に恋をする
「もういいのよ? あとは、真司さんに任せなさい」



 結局母の車でマンションまで送ってもらい、荷物を置いて母は上がらずに帰った。

「真倫、お着替えしようか」

 まずは真倫を着替えさせ、リビングのベビーベッドに横たえると、ファミレスで離乳食を食べてお腹もいっぱいなのか、すぐに寝てしまった。

 牛乳を温めてカフェオレを作り、ダイニングこ椅子に腰を下ろす。

 両手でマグカップを包み込み、フゥと息を吐いて考えた。

 母の言うとおり、真司さんにすべてを話してみようか。

 もし彼とやり直すなら、李花さんの件は解決しなければならないのだから。

 でも、その前にもう一度李花さんと会って話をしてみようと思う。

 去年のお正月に神宮寺家で会って以来、あれから一度も会っていないし、話をしたのはロンドンのヒースロー空港で彼女を見送ったときが最後だ。

 そういえば、今年のお正月は真司さんは帰国しなかったと言っていた。

『真司さんがね、買ってくれたの。約束の指輪』

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