そして外交官は、契約妻に恋をする
　というわけで、真司さんがナオミさんと彼女の夫を連れて来るまでは夢中で料理をした。ナオミさんが好きな筑前煮にワカメとキュウリの酢の物。冷凍してあるシラスも酢の物に入れる。

　あっという間に時間は過ぎて、真司さんがナオミさん夫婦を連れてきた。

「香乃子。会いたかったわ」

「私も会いたかったです、ナオミさん」

　ハグをして再会を喜び合う。

「まあー、なんて可愛いの！」

　ベビーベッドを見つけて駆け寄った彼女は、真倫に驚いた。

「もう、香乃子ったら出産で帰国していたのね」

　あれ？　そういうわけじゃないが、真司さんとアイコンタクトで話を合わせた。

「やっぱり向こうでは不安で」

　それは嘘じゃない。

「当然よ。安心して出産するほうがいいもの。真司さんたら、もうーなにも言ってくれないから」

「サプライズだよ」と、彼がおどけた。

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