そして俺は、契約妻に恋をする

▽真司



▼真司



「じゃあ、いってきます」

「いってらっしゃい」

 真倫の手を取って振る香乃子の笑顔は力なく見えた。

 心配ではあるが、背中を向けて進む。

『真司さん、私は真司さんと一緒にいたいです』

 ナオミ夫妻が来た夜、ポツリと彼女がそう言った。

 俺はただうれしくて香乃子を抱きしめて。すべてがうまく行くはずだったのに。

 あの日からだよな……。

 三日前。友だちと会いたいからと真倫を置いて出かけたあの日から元気がない。

 友だちとは誰なのか聞かなかった。彼女の親しい友人なら何人か知っているが、皆会えば元気になるような明るい女性だ。それなのに……。嫌な予感がする。

 ふと、キ喜に行ってみようかと思った。ちょうど出かけるついでがある。

 何の気なしにスマホでキ喜を調べた。

「えっ、なんだこれ」

 情報サイトの書き込みには、聞き捨てならない言葉が並んでいる。

【若い美人が、なまめかしく接客してくるのがたまらない】

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