そして外交官は、契約妻に恋をする
【あんなふうに色気たっぷりに言われたら通わずにはいられないよな】

　ほかも似たり寄ったり。

　すぐさま情報サイトに告知はしたが、これはいったいなんなんだ。



　用事を済ませた昼過ぎ、キ喜に向かった。

　すると、休業の貼り紙がある。

　迷ったが扉に手をかけると引き戸は開いた。

「すみません、休業」

「真司さん」

　香乃子が驚いたように立ち上がる。

　喜代子さんに頭を下げて「香乃子の夫です」と、挨拶をする。

「ご挨拶が遅れてすみません」

「あらー、そうだったの。どうぞ、料理はあるから食べていってくださいな」

「ありがとうございます」

　挨拶も早々に、情報サイトの話をした。

「もしかしてあれが原因ですか？」

「そうなのよ。変な男が来るようになって、ちょうどおとといあたりからかな」

「すみません」

　香乃子が申し訳なさそうに謝ると、喜代子さんが「香乃子ちゃんは悪くないわよ」と慰める。

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