そして外交官は、契約妻に恋をする
 だが君が後悔せずに済むよう精一杯努力するつもりだ。だから俺の船に乗ってくれないか。

 心で呟き、よろしくと手を差し出して、柔らかい彼女の微笑みにホッとした。

 白くて綺麗な手は、強く握ると折れそうだった。

 彼女の部屋を出るときに、振り向いて本棚を見た。

 決して後悔させない。させちゃいけない。少なくとも彼女の手を離すまでは。そう心に誓った。


< 22 / 236 >

この作品をシェア

pagetop