そして俺は、契約妻に恋をする
 真倫が真司さんを見てキャッキャと笑う。真司さんがふざけて破けたスーツでいないないぱーをしているからだ。

「追々わかってくると思うが、情報サイトは一ノ関李花のせいで間違いないだろう。でももう心配ないからな」

 彼はカクテルを一杯飲んだだけでなにも口にしていないというので、お風呂に入っている間に夕食の準備に取りかかる。

 時計を見れば八時半。今夜のメニューは、カレー。今日店に来てくれた彼がカレーも食べてみたそうにしていたから、キ喜で提供しているものと同じキーマカレーを作った。

 千切り野菜のコンソメスープにサラダ。ヨーグルトやスパイスに漬け込んだタンドリーチキン。

 ちょうど準備が終わった頃に、真司さんがお風呂から出てきた。

「お、うまそうだな」

「お店と同じキーマカレーにしてみました」

 料理を前に目を輝かせる彼を見るのは好きだ。この顔を見るためならもっと料理の勉強をして頑張ろうと思える。

「それで、いったいなにがあったんですか?」

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