そして俺は、契約妻に恋をする
彼女は現地採用のスタッフでは私より少し上の三十代前半。
両親共に日本人だが父親の仕事の関係でイギリス駐在中に生まれ十代のほとんどをこっちで過ごしたそうだ。
両親が日本に帰ってても、彼女だけイギリスに残り、イギリス人の男性と結婚したという経歴の持ち主だ。
「レッスンの帰りに、ナオミさんと雑貨屋でたくさんカードを買ったんです。クリスマスのカード、張り切って作りますね」
「おー、頼もしいな。でも、無理はするなよ?」
「はい」
真司さんと違って私はしっかりと睡眠時間を確保できているから、今のところ元気だ。
私を見て彼が「あ……」と声を止めた。
「海苔が付いてる」
「えっ、ど、どこですか?」
唇に手をあてると「取ってあげる」と言って彼が身を乗り出してくる。
顔が近い。
鼓動を高鳴らせながら目を瞑り唇を差し出すように顎を上げると、彼の指先を唇に感じた。
「取れたよ」
「ありがとう」
ホッとして彼を見れば、彼は摘まんだ海苔をぺろりと食べた。
うわっ、食べちゃうの!
慌てて目を逸らしうつむく。
両親共に日本人だが父親の仕事の関係でイギリス駐在中に生まれ十代のほとんどをこっちで過ごしたそうだ。
両親が日本に帰ってても、彼女だけイギリスに残り、イギリス人の男性と結婚したという経歴の持ち主だ。
「レッスンの帰りに、ナオミさんと雑貨屋でたくさんカードを買ったんです。クリスマスのカード、張り切って作りますね」
「おー、頼もしいな。でも、無理はするなよ?」
「はい」
真司さんと違って私はしっかりと睡眠時間を確保できているから、今のところ元気だ。
私を見て彼が「あ……」と声を止めた。
「海苔が付いてる」
「えっ、ど、どこですか?」
唇に手をあてると「取ってあげる」と言って彼が身を乗り出してくる。
顔が近い。
鼓動を高鳴らせながら目を瞑り唇を差し出すように顎を上げると、彼の指先を唇に感じた。
「取れたよ」
「ありがとう」
ホッとして彼を見れば、彼は摘まんだ海苔をぺろりと食べた。
うわっ、食べちゃうの!
慌てて目を逸らしうつむく。