そして外交官は、契約妻に恋をする
「コッツウォルズ? 行く! 行きたいです。 うわー、うれしい」

 憧れのコッツウォルズ。中世の雰囲気が残る美しい観光名所だ。絵本からそのまま出てきたような石造りの村や、近くにはシェークスピアの故郷、ストラトフォードもある。

 ロンドンにいるうちに一度は行きたいと思っていた観光地だ。

「よかった。今ゆっくりしないと、次はいつ休めるかわからないからな」

 確かに彼の言う通りで、壁のカレンダーを見れば一目瞭然だ。

 レセプションだけでも一日おきくらいにある。日本大使館主催のものもあるし、私もアフタヌーンティーやランチに呼ばれていて、気が休まるときがなさそうなくらい。

 今週末は予定を入れていなかったのもあるが、そもそもコッツウォルズは私がどうしても行きたかった場所だ。断る理由があるはずもない。



 二日後の朝、私たちはさっそく車に荷物を積んで出かけた。

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