そして外交官は、契約妻に恋をする
なにしろ四時には暗くなってしまうから、ヴィラに荷物を置いて早速観光に出かけた。
まず向かったのは、蜂蜜色の村カッスル・クーム。
「うわー。タイムスリップしたみたい」
重厚な石造りの家々が並び、五百年前とほぼ変わらないという風景が広がっている。まるで絵本の中に入り込んだよう。
静かだ。ロンドンの喧騒に慣れた耳に鳥の囀りが響く。
「ずっと来てみたかったんです」
いつか、たとえ一泊旅行でもと思っていたが、当然ひとり旅のつもりでいたのに、まさか真司さんに誘ってもらえるなんて。
「真司さんは来たことがあるんでしょう?」
「ああ、要人の観光案内でね。来たというだけだから、今日が初めてのようなものだな」
彼は目を細めて辺りを見回す。
それはそうだろう。仕事じゃ落ち着いて観光どころじゃないに違いない。
「気持ちいいなぁ」
「本当に」
手を繋ぐのは、いつしか習慣のようになった。彼が手を差し出して私が掴む。
川沿いの道を歩き、目に留まったショップを覗く。
まず向かったのは、蜂蜜色の村カッスル・クーム。
「うわー。タイムスリップしたみたい」
重厚な石造りの家々が並び、五百年前とほぼ変わらないという風景が広がっている。まるで絵本の中に入り込んだよう。
静かだ。ロンドンの喧騒に慣れた耳に鳥の囀りが響く。
「ずっと来てみたかったんです」
いつか、たとえ一泊旅行でもと思っていたが、当然ひとり旅のつもりでいたのに、まさか真司さんに誘ってもらえるなんて。
「真司さんは来たことがあるんでしょう?」
「ああ、要人の観光案内でね。来たというだけだから、今日が初めてのようなものだな」
彼は目を細めて辺りを見回す。
それはそうだろう。仕事じゃ落ち着いて観光どころじゃないに違いない。
「気持ちいいなぁ」
「本当に」
手を繋ぐのは、いつしか習慣のようになった。彼が手を差し出して私が掴む。
川沿いの道を歩き、目に留まったショップを覗く。