そして外交官は、契約妻に恋をする
額に手をあてて頭を振る真司さんの様子が、あまりに深刻そうで困ってしまう。
「い、いんです、大丈夫です。真司さんのせいじゃないし、それに私、なにも被害には遭ってないですから」
ふいに彼は――私を抱きしめた。
「真司さん?」
「今後は目をは離さないようにするが、男に絡まれたら俺に必ず言ってくれ。必ず抗議する」
「あ、は……はい」
そんなことがあったせいか。
ヴィラで迎えた夜は、いつもの夕食とは違ったような気がした。
飾られていたツリーのイルミネーションと、暖炉の炎と。淡い間接照明だけの優しい光の中で。
彼が作ってくれたパエリアは、底が少し焦げたところも香ばしくて、どこのレストランで食べるパエリアよりも美味しかった。グリルの野菜やジューシーな鶏肉も。
酔った勢いでふざけ合いながら、思わずキスをしそうになった。
タイミングよく真司さんの電話が鳴って、未遂に終わったけれど。私の心臓は高鳴ったまま。
気持ちを鎮めようとして、そっと外に出た。
「い、いんです、大丈夫です。真司さんのせいじゃないし、それに私、なにも被害には遭ってないですから」
ふいに彼は――私を抱きしめた。
「真司さん?」
「今後は目をは離さないようにするが、男に絡まれたら俺に必ず言ってくれ。必ず抗議する」
「あ、は……はい」
そんなことがあったせいか。
ヴィラで迎えた夜は、いつもの夕食とは違ったような気がした。
飾られていたツリーのイルミネーションと、暖炉の炎と。淡い間接照明だけの優しい光の中で。
彼が作ってくれたパエリアは、底が少し焦げたところも香ばしくて、どこのレストランで食べるパエリアよりも美味しかった。グリルの野菜やジューシーな鶏肉も。
酔った勢いでふざけ合いながら、思わずキスをしそうになった。
タイミングよく真司さんの電話が鳴って、未遂に終わったけれど。私の心臓は高鳴ったまま。
気持ちを鎮めようとして、そっと外に出た。