そして外交官は、契約妻に恋をする
　直近の日曜日も急な予定が入り、その日の夕方在英邦人が巻き込まれるバスの事故があって対応に追われ、家に帰ってきたのは三日後だった。

　その間、私は何度か大使館に行き、着替えや差し入れを届けた。

　ナオミさんから聞いた話によれば、彼は献身的に対応していて、その姿勢にナオミさんも胸を打たれたという。

　事故に遭われた方は結果的には軽傷で済んだけれど、頭を打っていたから当初は非常に心配だったそうだ。真司さんは少しでも本人や日本にいる家族が安心できるようにと、寝る間を惜しんで事にあたっていたという。

　東京との時差が八時間。東京の午前中はロンドンの深夜になる。両方対応するのだから、いくら体力があっても休まなければ倒れてしまうのは当然だ。

　もちろん彼だけが忙しいわけじゃないし、今回彼が倒れてしまったのは、ある意味タイミングが悪かったのもある。休日に休めなかったり理由は、ロンドンに戻ってきた李花さんと会っていたからだった。

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