そして外交官は、契約妻に恋をする
 クリスマスにサムゲタンというのもおかしな感じだが、きっといい記念になるはずだ。

 コトコトと煮込んでいる間に、考えてみた。

 私はいつまでここにいていいのかな……。

 入籍した日から一年? それともロンドンに来て一年?

 その後、私はどうしよう。そろそろ具体的に考えなきゃいけない。

 実家には帰らないつもりだ。父が離婚を受け入れてくれるとは思えないし。とにかく今のうちから計画を立てておかなければ。

 お鍋から聞こえるコトコトと煮込む音に耳を傾けながら、ダイニングテーブルに座り考え込んでいると、真司さんが寝室から出てきた。

 着替えたようで出しておいたパジャマに着替えている。

「どうですか?」

「随分楽になった」

 真司さんは冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出して飲む。ゴクゴクと勢いよく飲むので、枕もとに置いた水が足りなかったのかと心配になる。

「あー、冷蔵庫の冷たい空気が気持ちいい」

 言葉通り溜め息も気持ち良さそうだが、まだ熱があるのかな。

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