そして俺は、契約妻に恋をする
 彼が一年でいいと言ったのは――李花さんとの約束があったから……。

 わかっていたのに、どうしてこんなに胸が塞ぐのだろう。

 あの日以来、私は自分の感情を持て余している。

 コトコトと音を立てる鍋を見つめながら、濁るお湯が自分の心のように思えた。




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