そして俺は、契約妻に恋をする


▼香乃子



 夜には彼も随分元気になった。

 もともと体力があって元気な人だから回復も早いのだろう。おなかが空いたようで、大喜びでたくさんサムゲタンを食べた。

「すごく美味いよ」

「そうですか? よかった」

 拗らせなくて本当によかった。週明け数日行けばもう年末年始の休みに入る。今度こそゆったりと休めるだろうから、あと少しの辛抱だ。

「明日、ふたりで一日遅れのクリスマスパーティーをしよう」

 あまりに元気そうなのでクスッと笑ってしまうが「そうですね」と曖昧に答える。

 もちろん私だってそうしたい。真司さんとふたりきりのクリスマスを、ずっと楽しみにしていたのだから。

 でも期待はしないでおこう。今は元気そうに見えるけれど油断は禁物だ。ぶり返してしったら大変だもの。

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