副社長の甘い罠 〜これって本当に「偽装婚約」なのでしょうか?〜
偽装婚約者としての振る舞い
自宅にたどり着いて、ソファにぼすっと倒れ込む。副社長からの、突拍子もない提案を思い返していた。
そして、自分の母親には何と伝えるか、いまだに頭の中がぐるぐるしている。
付き合っている人がいる、と以前伝えたことはあるが、三股の売れないミュージシャンだとは勿論言っていない。
相手がどんな人か詳しく言っていないし、ましてや親に会わせたこともないので『本当に付き合っている人はいるの…?』と疑われる始末だった。
(適当に、1年くらい前から付き合っている設定にしちゃおう!)
細かい設定は後で、副社長と口裏を合わせるとして。母親と特に勘の鋭い弟にばれないように、色んな回答パターンをシミュレーションした。
そして、意を決して母に電話をかける。
ーーープルルッ
「もしもし、澪?」
「あ、お母さん。今大丈夫?」
「もちろん大丈夫よ。これから夕ご飯の準備をしようと思ってたの。澪はどうしたの? もしかして、お見合いの件前向きに考えてくれた?」
「あのー、それが、実は一年前から付き合ってる人がいるんだけど」
「それ、本当なの? 一度も会わせてくれないし…」
「うん、それで、その人と結婚も考えててさ。近々挨拶に行きたいって言ってるんだけど、薫さんと蓮含めて3人揃ってる日ってある?」
そして、自分の母親には何と伝えるか、いまだに頭の中がぐるぐるしている。
付き合っている人がいる、と以前伝えたことはあるが、三股の売れないミュージシャンだとは勿論言っていない。
相手がどんな人か詳しく言っていないし、ましてや親に会わせたこともないので『本当に付き合っている人はいるの…?』と疑われる始末だった。
(適当に、1年くらい前から付き合っている設定にしちゃおう!)
細かい設定は後で、副社長と口裏を合わせるとして。母親と特に勘の鋭い弟にばれないように、色んな回答パターンをシミュレーションした。
そして、意を決して母に電話をかける。
ーーープルルッ
「もしもし、澪?」
「あ、お母さん。今大丈夫?」
「もちろん大丈夫よ。これから夕ご飯の準備をしようと思ってたの。澪はどうしたの? もしかして、お見合いの件前向きに考えてくれた?」
「あのー、それが、実は一年前から付き合ってる人がいるんだけど」
「それ、本当なの? 一度も会わせてくれないし…」
「うん、それで、その人と結婚も考えててさ。近々挨拶に行きたいって言ってるんだけど、薫さんと蓮含めて3人揃ってる日ってある?」