副社長の甘い罠 〜これって本当に「偽装婚約」なのでしょうか?〜

愛と言葉のシャワー


とうとう旅行の日がやってきた。
お昼もとっくに過ぎた頃、私達は那覇空港に降り立った。6月下旬の沖縄は、ちょうど梅雨明けしたばかりで、もう完全に夏だ。


「飛鳥さん、沖縄すごく暑いですね…」

「あぁ、6月の平均気温は26℃前後だったな。東京も暑くなってきたけど、まだ梅雨でじめっとしてるし……やっぱり全然違うな」


ちなみに、休みの前日は相変わらず遅番勤務なので、私の疲れを考慮して遅めのフライトにしてもらった。私たちの4連休はのんびりとしたスタートになった。


「ホテルにチェックインする前に昼ごはん食べて、外を色々見て回ろうか。澪、何食べたい?」

「うーん、そうですね。沖縄そば、ラフテー、チャンプルー……」

「そんなに食べ切れるか?」

「全部は食べないですよ!!……あ、でも少しずつ飛鳥さんと分け合えば良いのか」

「結局食べるのか。澪は料理だけじゃなくて、食べることも好きだな」


はは、と笑いながら言われて、つい膨れっ面になってしまう。


「怒ってる澪も可愛いと思う俺って、重症か?」

「飛鳥さん、心の声が漏れてますよ。ふふ」


そんなやり取りをしながら、早速見つけた良さそうなお店に入った。
結局色んなメニューを頼んで、少しずつ堪能させてくれる飛鳥さん。にこにこしながら私が食べている様子を見ていた。


「澪、少し通りを歩いてみようか。国際通りとか、やちむん通りの方も行ってみよう。焼き物、澪好きそうだし」

「はい、実際に買うのは3日目か4日目にするとして、まずはどんなものがあるか、見ておきたいです! 焼き物も買って帰りたいですし」

「よし、決まりだな」
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