副社長の甘い罠 〜これって本当に「偽装婚約」なのでしょうか?〜
「澪、気抜いてると襲うよ?」
「ひっ! 突然襲うのは禁止です!!」
「突然じゃなくて予告すればいいの? じゃあ、襲いまーす」
「え、ちょ、心の準備が……」
「はは、冗談だよ。まぁまだ時間はあるから、ゆっくりいくか」
突然の予告に、顔に熱が集中して暑くなる。暑いのはこの気温のせいなのか、飛鳥さんのせいなのか…。
「飛鳥さん、明日はどこ行きましょうか? 私、美ら海水族館に行ってみたいです!」
「いいね、あの辺は色々観光スポットもあるから、明日行ってみようか。澪と水族館行くの、久しぶりだな」
「前回はペンちゃん、買ってもらった時ですね。ふふ、随分前のことみたい」
「ペンちゃんって、俺が買ったあの大っきいペンギンのぬいぐるみ?」
「はい、飛鳥さんがいない時は、ペンちゃん抱いて寝てます。もふもふしてて、なんか落ち着くんですよね」
「……俺の抱き枕にでも変えておこうかな」
「ん?飛鳥さん、何か言いました?」
「いや、なにも」
飛鳥さんが小声でぼそっと何か言っていたけれど、よく聞き取れなかった。
とにかく、明日は観光要素が多くてとても楽しみだ。この日はホテルのディナーを楽しんで、明日に備えて早めに就寝した。
寝る時に飛鳥さんがいつもより強く抱きしめているような気がしたけれど、それは気のせいだったのだろうか?
***
今朝はホテルのモーニングを食べて、早めに美ら海水族館のあるエリアに移動した。今日も天気が良く、飛鳥さんの運転でドライブするのがとても気持ち良かった。