副社長の甘い罠 〜これって本当に「偽装婚約」なのでしょうか?〜

副社長の甘い罠

昨夜はそのまま寝てしまって、少し早めに目が覚めた。飛鳥さんは隣で、スースーと寝息を立てながら寝ている。

(もしかして、もう起きてたりして?)

一見寝ているように見えるけれど、いつも私より少し早く起きていることが多い。スルッと抜け出してみたが、まだ飛鳥さんはぐっすり眠っている。

昨日は沢山運転もしたし、夜も激しかったから疲れちゃったかな?

朝日を気持ち良く浴びながら、コーヒーを淹れ始めた。コポコポコポ…と音を立てながら、良い香りが漂い始める。

突然、後ろからがばっと抱きしめられた。


「ひゃぁっ! あ、飛鳥さん? 起きたんですか?」

「起きたら隣に澪がいなくて、絶望してた……」

「あ…ごめんなさい。せっかく気持ちの良い朝だから、コーヒーでも淹れようと思って。ほら、飛鳥さんの分もありますよ」

「ん、ありがとう、澪」


後ろから抱きしめた状態で、頬にちゅっとキスをされた。昨日あんなに激しい情事をしたというのに、相変わらずドキドキしっぱなしだ。

淹れたてのコーヒーをテーブルに置き、二人とも椅子に座って飲み始める。


「……飛鳥さんとの偽装婚約、始まりはスイートルームでしたね。今日と同じく」

「あぁ、そうだな。随分前のように感じるけど、4ヶ月くらいしか経ってないのか」

「あ! 前のマンション、解約しなきゃ……すっかり忘れてました」

「あー、忙しくて忘れてたな。帰ったら手続きと、引越し作業しないとな。あと、婚姻届も出しに行かないと」

「そうですね、覚えやすい日とか、大安がいいのかな? もしくは、次に休みが合うタイミングで行きましょうか」
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