副社長の甘い罠 〜これって本当に「偽装婚約」なのでしょうか?〜
「カップ麺の時もあるんですね!? ご迷惑でなければ、居候のお礼にたまに作らせてください。
と言っても、私の得意料理ってカレーとか焼きそばとかオムライスで、子供が好きそうなものばかりなのですが……飛鳥さんのお口に合うかどうか」
「それは、弟さんに食べさせてたから?」
「そうですね。カレーは冷凍すれば日持ちしますし、オムライスは誕生日とか、ちょっと贅沢したい日に作ってました。もう、どうにも疲れた時は袋麺とかでしたけど…。
父の保険金と母の貯金だけで、あとは親戚の家業を手伝ったり、当時はなんとかやりくりしないといけなくて。あんまり凝ったものは作れないので、練習します」
日頃フレンチとかを食べているだろう飛鳥さんには、カレーもオムライスもお子様のご飯、という感じだろうか。少し心配になる。
「いや、すごく嬉しい。料理人が作るものはもちろん美味しいけど、昔、母親が頑張って作ってくれた家庭料理を思い出すな。
うちの母は澪と違って料理がそこまで得意ではないんだけど、息子に食べさせたいとたまに頑張って作ってくれたんだ。それ以外は基本的に家政婦さんが作ってて」
「そうなんですね。全くダメそうでなければ、良かったです。じゃあ荷物を運び出したら、スーパーに寄らせてください」
そう言って、荷物を運び終えた後に、スーパーに寄って必要な食材を買った。お昼はカレーを作ることにした。
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