副社長の甘い罠 〜これって本当に「偽装婚約」なのでしょうか?〜
飛鳥さんの住む自宅マンションに到着した。やはりタワーマンションだった。
とはいえ、エレベーターに乗っている時間が長いのは煩わしいらしく、低層の方に住んでいるらしい。経営者は皆、せっかちなのだろうか。
入り口にはコンシェルジュスタッフも常駐していた。スーツケースや収納ケースを運び入れて、飛鳥さんの自宅に入る。
「お邪魔します」
中に入ると、広々としたリビングルームにシステムキッチンが見えた。とても綺麗に整頓されている。
コンクリート打ちっぱなしの壁が少し無機質にも感じるが、観葉植物などグリーンも置いてあり、温かみがあってバランスが取れていた。
「澪はここの客間を使って。ベッドとか、一通り揃ってるから」
「ありがとうございます。遠慮なく使わせて頂きますね」
浴室やお手洗いなど、一通りの場所を教えてもらう。一息ついた所で、早速料理を始めた。
「飛鳥さん、キッチンと冷蔵庫、お借りしますね」
「あぁ、ご飯は残りがあったと思うから、その炊飯器見てみて」
「はい、ありがとうございます」