副社長の甘い罠 〜これって本当に「偽装婚約」なのでしょうか?〜
「3601のスイートに宿泊しているジュニアがお呼びでーす。倉田さん、ジュニア相手に何をやらかしたの? あ〜ん、私が会いに行きたいわぁ」
「はぁ…副社長がお呼びなんですね? 分かりました」
そう言って、ブチッと速攻で業務用スマホの通話を切る。
スマホに表示された時間は、15時50分を指していた。
早番の退勤まであと10分、という時に副社長に呼び出されてしまった。これは長くなるかもしれない……。
客室課のオフィスで別の作業をしていた、後輩の平さんに声をかける。
「平さん、ごめん。副社長に呼ばれてすぐに上がれなさそう。もし何かあったらいつでも内線くれて良いから」
「先輩、ありがとうございます! こちらはフロントから、というか主に水嶋さんからの鬼電にいくらでも対抗するんで、大丈夫です!気をつけて行ってきてください!!」
「あはは、頼もしいね。特に気をつけることもないけど、行ってきます」
戦場にでも送られるのか、とつい吹き出してしまう。
後輩の平さんは本当に良い子だ。遅番のゲストランナーはとにかく電話が鳴り止まないくらい忙しいが、いつも前向きに仕事に取り組んでくれていて、頼りにしている。
(それにしても副社長、一体何の話だろう?)
頭にはてなマークを浮かべながら、業務用のエレベーターに飛び乗った。
***
「はぁ…副社長がお呼びなんですね? 分かりました」
そう言って、ブチッと速攻で業務用スマホの通話を切る。
スマホに表示された時間は、15時50分を指していた。
早番の退勤まであと10分、という時に副社長に呼び出されてしまった。これは長くなるかもしれない……。
客室課のオフィスで別の作業をしていた、後輩の平さんに声をかける。
「平さん、ごめん。副社長に呼ばれてすぐに上がれなさそう。もし何かあったらいつでも内線くれて良いから」
「先輩、ありがとうございます! こちらはフロントから、というか主に水嶋さんからの鬼電にいくらでも対抗するんで、大丈夫です!気をつけて行ってきてください!!」
「あはは、頼もしいね。特に気をつけることもないけど、行ってきます」
戦場にでも送られるのか、とつい吹き出してしまう。
後輩の平さんは本当に良い子だ。遅番のゲストランナーはとにかく電話が鳴り止まないくらい忙しいが、いつも前向きに仕事に取り組んでくれていて、頼りにしている。
(それにしても副社長、一体何の話だろう?)
頭にはてなマークを浮かべながら、業務用のエレベーターに飛び乗った。
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