副社長の甘い罠 〜これって本当に「偽装婚約」なのでしょうか?〜
ホテルの外に出て、荒木さんに指定された場所に向かう。少し離れた場所に、車を駐車していた。
「荒木さん、お疲れ様です」
「倉田さん、お疲れ様です。どうぞ、乗ってください」
荒木さんの運転で走り出す。色々と聞きたいことは山盛りだ。水嶋専務のことや、飛鳥さんとの関係もどこまで知っているのか……。
「倉田さん、色々気になりますよね」
「あ、すみません、顔に出てました? 飛鳥さんにも前言われました」
「はは、そうでしたか。不安そうな顔をして、こちらをちらっと見られたような気がして」
こんなに顔に出るんじゃ、ホテルマン失格なのではないだろうか…と少し不安になる。大成さんの察する力が凄いのだろうか。
「偽装婚約の件も聞いてます」
「えっ!そうなんですね? 誰も知らないと思ってたので、少し安心しました。誰にも相談できなくて、この関係っておかしいのかな、とか」
「確かに普通ではないですよね、うちの副社長が。それについていける倉田さんも凄いと思いますが……なんというか、お似合いですよ、二人とも」
「いえ、お似合いと言われても…偽装なんで」
自分で言っていて、なんだか悲しくなってくる。
「うちの副社長、随分拗らせてるんで分かりづらいかもしれませんが、倉田さんのこと大事に思ってますよ」
「そう、なんですかね?」
「はい、秘書の私が保証します」
「そうですか…」
喜んで良いのかもよく分からないが、ひとまず水嶋専務の話に移す。
「荒木さん、お疲れ様です」
「倉田さん、お疲れ様です。どうぞ、乗ってください」
荒木さんの運転で走り出す。色々と聞きたいことは山盛りだ。水嶋専務のことや、飛鳥さんとの関係もどこまで知っているのか……。
「倉田さん、色々気になりますよね」
「あ、すみません、顔に出てました? 飛鳥さんにも前言われました」
「はは、そうでしたか。不安そうな顔をして、こちらをちらっと見られたような気がして」
こんなに顔に出るんじゃ、ホテルマン失格なのではないだろうか…と少し不安になる。大成さんの察する力が凄いのだろうか。
「偽装婚約の件も聞いてます」
「えっ!そうなんですね? 誰も知らないと思ってたので、少し安心しました。誰にも相談できなくて、この関係っておかしいのかな、とか」
「確かに普通ではないですよね、うちの副社長が。それについていける倉田さんも凄いと思いますが……なんというか、お似合いですよ、二人とも」
「いえ、お似合いと言われても…偽装なんで」
自分で言っていて、なんだか悲しくなってくる。
「うちの副社長、随分拗らせてるんで分かりづらいかもしれませんが、倉田さんのこと大事に思ってますよ」
「そう、なんですかね?」
「はい、秘書の私が保証します」
「そうですか…」
喜んで良いのかもよく分からないが、ひとまず水嶋専務の話に移す。