副社長の甘い罠 〜これって本当に「偽装婚約」なのでしょうか?〜
はぁ、とため息をつく。澪を前にすると、途端に自分の頭が上手く働かなくなる。仕事ならこんなことは無いのに。
「どうにか繋ぎ止めたくて偽装婚約を提案して、挙句親御さんに挨拶まで行って外堀埋めてるの大分ヤバいんですけど……」
「あんまり虐めるなよ。むなしくなる」
「そんな副社長に朗報です。倉田さんの土日のスケジュール抑えたんで、デート行けますよ」
「何だって、澪とデート!?」
ガタッと立ち上がって「それは本当に本当なのか?」と大成を見つめる。小さく拳を作ってガッツポーズをしてしまった。俺は思春期の中学生か。
「大成、でかした。今ならいくらでも仕事やれるぞ」
「その連休の後は、たっぷり出張詰め込んであるんで。あと、倉田さんに好意が伝わってなさそうなので、ちゃんと言葉にした方が良いですよ。がっちり心を掴んできてください」
「お前、結構出来るヤツなんだな」
「俺のこと出来ない奴だと思ってたんすか…?」
「いや、そういう訳では」
「本当感謝してくださいよね」
「じゃあ今日はなるべく早く帰りたいから、宜しくな」
「は?!この量の仕事、早く終わる訳……
はぁ、マジで鬼畜過ぎんか、俺のボス」
大成はぶつくさ呟いていたが、なんとか業務を終わらせた。澪の終業には間に合わなかったが、少しでも話す時間を作れるよう急いで帰宅した。
***
「どうにか繋ぎ止めたくて偽装婚約を提案して、挙句親御さんに挨拶まで行って外堀埋めてるの大分ヤバいんですけど……」
「あんまり虐めるなよ。むなしくなる」
「そんな副社長に朗報です。倉田さんの土日のスケジュール抑えたんで、デート行けますよ」
「何だって、澪とデート!?」
ガタッと立ち上がって「それは本当に本当なのか?」と大成を見つめる。小さく拳を作ってガッツポーズをしてしまった。俺は思春期の中学生か。
「大成、でかした。今ならいくらでも仕事やれるぞ」
「その連休の後は、たっぷり出張詰め込んであるんで。あと、倉田さんに好意が伝わってなさそうなので、ちゃんと言葉にした方が良いですよ。がっちり心を掴んできてください」
「お前、結構出来るヤツなんだな」
「俺のこと出来ない奴だと思ってたんすか…?」
「いや、そういう訳では」
「本当感謝してくださいよね」
「じゃあ今日はなるべく早く帰りたいから、宜しくな」
「は?!この量の仕事、早く終わる訳……
はぁ、マジで鬼畜過ぎんか、俺のボス」
大成はぶつくさ呟いていたが、なんとか業務を終わらせた。澪の終業には間に合わなかったが、少しでも話す時間を作れるよう急いで帰宅した。
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