副社長の甘い罠 〜これって本当に「偽装婚約」なのでしょうか?〜

「え、なんとなく?」

「………」


お互い目を見合わせて、ぷっと吹き出す。つい笑ってしまった。


(飛鳥さんと話すの、楽しいな。
 今度、観葉植物でもプレゼントしようかな?)

 
ご飯を食べた後は、飛鳥さんの提案で食器を買いに行くことになった。今は必要最低限の食器しかなく、あまり料理の品数を増やせない。

 
「澪の新しい食器を買おう」
 

そう言って手を繋ぎながら食器を見ている私達は、(はた)から見たら同棲したてのカップルか新婚夫婦にしか見えないだろう。

飛鳥さんの食器まで買う必要はないのに、「これが良いです」と言って手に取ったコップの色違いも、飛鳥さんは買い物カゴに入れていく。

 
「飛鳥さんも、食器買うんですか?」

「せっかくだし、これを機に俺も新しいのを使おうかなと思って」

「そうですか?」と言って、必要そうなものを追加していく。ふと(せっかく新しい食器があるなら、美味しいご飯を用意したいなぁ)と思い始めた。

「飛鳥さん、この後は食材を買って、おうちデートにしませんか?」

「お、何か作ってくれるのか?」

「はい、まだ時間も早いので、ローストビーフとかどうですか? あと、お酒も買って、さっきの有明監督の過去作品見ません?」

「いいね。澪が作るローストビーフ、食べたい」

「じゃあ早速、お肉を買いに行きましょ!」

その後は食材を買いに行って、早めに飛鳥さんのマンションに帰宅した。


***
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