副社長の甘い罠 〜これって本当に「偽装婚約」なのでしょうか?〜
「澪、酔ってるからかっこいいって言ってくれてるの?」
「違うよ、いつも思ってる。私には勿体無いなって。まぁ、偽装の婚約者なんだけど」
「澪……」
そろそろ、俺の本心を伝えても良いのだろうか。
本当は「偽装」という関係では嫌なんだと。
酔ってる澪に言う訳にはいかないが、これは澪も少しは俺に好意があるのではと淡い期待をしてしまう。
「今日ね、色々飛鳥さんに質問したでしょう?」
「あぁ、お見合いみたいな質問な」
「もう、揶揄わないで。でも本当に聞きたいことは、別にあって」
「ん? 何が知りたい?」
「……飛鳥さんは、私のことどう思ってる?
やっぱり、ただの、偽装婚約者なのかな…?」
「澪、それは…酔ってる時じゃなくて、お酒が抜けている時にちゃんと伝えたい。それじゃダメか?」
「ん、そう…」
澪の目が半分閉じてきた。これはそろそろ限界か。
お姫様抱っこして、彼女が使っている客間のベッドに連れて行く。お風呂も入れていないけれど、今日はもう無理そうなので寝かしつけた。
それにしても、あれは澪の本音なのだろうか?
あと、酔うと敬語が抜けてさらに可愛くなるのも、大問題だ。もう他の男がいる飲み会には行かせないようにしないと…。
俺は当初の想定より早く、自分の気持ちをきちんと澪に伝えようと決心した。
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