副社長の甘い罠 〜これって本当に「偽装婚約」なのでしょうか?〜
飛鳥さんは沢山の愛情を、きちんと言葉にして、惜しみなく私に流し込んでくれる。
 
今まで心にぽっかりと開いていた穴が、どんどん満たされていくように感じた。抱きしめられた状態で、振り返るように飛鳥さんを見上げる。


「私も、飛鳥さんが好きです」


飛鳥さんほどの愛情を返せているか自信はないけれど、きちんと今の想いを伝えてみた。

しかし、飛鳥さんの目が点になっている。
あれ、大丈夫かな?

そう思ったと同時に、飛鳥さんの唇が私の口に優しく触れた。

温かくて甘やかなそのキスを、私はすぐに受け入れた。


「……あー、だめだ。これ以上は我慢できなくなる。明日早番の澪には負担をかけたくないから、ここまでにしておくな」

 
飛鳥さんのアソコが若干硬くなって、私のお尻近くに当たっているような気がするが……。

 
「本当に大丈夫ですか?」

「うん、我慢する。続きは出張から戻ってきたら、な。今日は抱きしめたまま、寝て良い?」

「…はい、飛鳥さんがその姿勢で負担じゃなければ。私は大丈夫ですよ」

「ありがとう、澪。おやすみ」

 
そう言って、飛鳥さんは部屋を暗くした。
体温が心地よく、昨日今日で少し疲れも溜まっていたので、すぐに寝つくことができた。


これから私たちには、どんなことが待ち受けているんだろう? まだ分からないけれど、飛鳥さんと2人で乗り越えていきたい、と今は思う。

そして予想通りというのか、大雨を伴った嵐は私たちの目の前までもう近づいてきていた。

 
***
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