副社長の甘い罠 〜これって本当に「偽装婚約」なのでしょうか?〜
「酷い話ですね…。それで、目眩しのためにも偽装の婚約者を置きたい、ということですね」
「そう、さすが倉田さん。こちらの思惑を理解するのが早いな」
「でも、副社長の婚約者役をやりたい人は五万といると思うのですが……私である必要、あります?」
「倉田さんは俺のことが苦手だろう? だから良いんだ。『責任をとって結婚しろ』と迫ったりもしてこない。
あと、一時的でも結婚を考えている人がいれば、無理にお見合いをしなくても良くなるだろう? 倉田さんにもメリットのある話だと思ったんだ」
「副社長のことは苦手な訳ではないんですが……確かに、利害が一致してますね」
うーん、と考え始める。
確かに「結婚を前提にお付き合いしている人がいる」と言えば、母も無理にお見合いをセッティングしないだろう。多少時間稼ぎをして、その後「別れた」とでも言えばいい。
私も元彼と別れたばかりで、今は無理に恋愛をしたり結婚に向けて頑張ったりしたくない。
とはいえ、専務に目をつけられたら、それはそれで仕事がしづらくなりそうだ。この偽装婚約は、それなりにリスクも大きい。
「ちょっと私には荷が重すぎます。少し検討のお時間を……」
「倉田さん、コンシェルジュアプリの会社で副業してるだろ?」
「え?!なんでそれを……」
「うちの会社、副業禁止なんだけどなぁ」
(あぁ、弱みも握られてるパターンだった……さすが副社長だわ)
はぁ、とため息をつく。頭を抱えながらも、意を決した。
「そう、さすが倉田さん。こちらの思惑を理解するのが早いな」
「でも、副社長の婚約者役をやりたい人は五万といると思うのですが……私である必要、あります?」
「倉田さんは俺のことが苦手だろう? だから良いんだ。『責任をとって結婚しろ』と迫ったりもしてこない。
あと、一時的でも結婚を考えている人がいれば、無理にお見合いをしなくても良くなるだろう? 倉田さんにもメリットのある話だと思ったんだ」
「副社長のことは苦手な訳ではないんですが……確かに、利害が一致してますね」
うーん、と考え始める。
確かに「結婚を前提にお付き合いしている人がいる」と言えば、母も無理にお見合いをセッティングしないだろう。多少時間稼ぎをして、その後「別れた」とでも言えばいい。
私も元彼と別れたばかりで、今は無理に恋愛をしたり結婚に向けて頑張ったりしたくない。
とはいえ、専務に目をつけられたら、それはそれで仕事がしづらくなりそうだ。この偽装婚約は、それなりにリスクも大きい。
「ちょっと私には荷が重すぎます。少し検討のお時間を……」
「倉田さん、コンシェルジュアプリの会社で副業してるだろ?」
「え?!なんでそれを……」
「うちの会社、副業禁止なんだけどなぁ」
(あぁ、弱みも握られてるパターンだった……さすが副社長だわ)
はぁ、とため息をつく。頭を抱えながらも、意を決した。