副社長の甘い罠 〜これって本当に「偽装婚約」なのでしょうか?〜
「モンステラの花言葉は『嬉しい便り』らしいぞ。俺のこと、そんなに心配してくれてたの?」
少し揶揄うような言い方をする飛鳥さん。
「当たり前じゃないですか! もう、気が気じゃなかったですよ……」
「澪……悪かった。もう大丈夫だから」
優しい目線をこちらに向ける。
あぁ、本当に飛鳥さんが無事に帰ってきて良かった……と改めて思った。
「というか、なんでモンステラの花言葉、知ってるんですか?」
「この間、ポトスの件でちょっと恥ずかしい思いしたから、植物を見るとつい調べるようになった」
「良いじゃないですか、がめつい飛鳥さん。ふふ」
「澪、ちょっと馬鹿にしてるだろ?」
「そんなことないですよ〜 ほら、早く食べましょう?」
2人でオムライスを食べ始めた。美味しかったらしく、飛鳥さんのお皿からどんどんオムライスが消えていく。ふと、気になったことを尋ねた。
「飛鳥さん、少しはお仕事休めそうですか?」
「うーん、軽い脳震とうで済んでるから俺はもう大丈夫なんだけど。意外と、大成が心配症なんだよな……直近1週間は出来る限り在宅で仕事をして、念のため病院も再度受診するようにって。大丈夫だって言っても、絶対ダメだって」
「私もその方が良いと思います。いつもずっと忙しいですし、たまにはお仕事セーブしてください」
「ね?」と飛鳥さんを見上げると、少し甘えるような雰囲気で語りかけられる。
「今日も澪と一緒に寝れたら、早く治りそうなんだけど」
「飛鳥さん、何もしないって約束できます?」
「え、ダメなの……?」
(キスの先、早速するつもりだったの!? 事故に遭ったばっかりなのに??!)