許嫁のパトリシアは僕をキープにしたいらしい
それから、何度も別の女の子がことあるごとに僕に話しかけてきた。
「ねぇ、パトリシアさんのことだけど。ウェルダー様と一緒に仲よさそうにしているのを見たわ。だから聞いてみたの、付き合ってるのって。そうしたらね、アクア様がやめろと言うのならやめるつもりって――」
「別にわざわざ報告してこなくていいよ。僕は気にしていない」
「ねぇ、今度の休みにはコロイド様とお出かけになるそうよ。アクア様が止めるのなら、やめるおつもりだと聞いたのだけど――」
「報告しなくていいって。僕は気にしていないんだ」
女の子は本当に噂好きだ。普段は絶対に女の子が僕に話しかけることなんてないのに、何人もの子が寄ってきた。少しげんなりする。わざわざ人の反応を見て楽しもうだなんて悪趣味だ。
パトリシアなら、誰とでも上手くやってしまうだろう。コロコロと笑って、楽しい話題を出して好きになった相手と――、あーあ。考えたくない。考えたくないから、誰も僕に話しかけないでほしい。
「なぁ……アクア」
パトリシアの友人を追い払い、広い談話室で一緒に趣味であるクロスワードを考えていた友人が突然呆れ顔をしながら声のトーンを変えて僕に話しかけた。
「なに? このクロスワードは好みじゃない?」
「あー……、俺が何か言うのはおかしいと思って今まで言わなかったんだけどさ」
「ん?」
「パトリシア嬢はお前のことが好きだと思うぞ?」
「そんなわけがないよ、僕は振られたんだ。そんなことより、この問いだけどさ――」
僕のことを好きになる子なんていない。このまま惰性でパトリシアと一緒になれたらなんて考えていたけど、もう無理だろう。恋愛ごとは苦手だし、時が流れるままに任せよう。
友人が言った。
「仕方ないな。アクア、パトリシア嬢からの伝言を伝えるよ」
「ねぇ、パトリシアさんのことだけど。ウェルダー様と一緒に仲よさそうにしているのを見たわ。だから聞いてみたの、付き合ってるのって。そうしたらね、アクア様がやめろと言うのならやめるつもりって――」
「別にわざわざ報告してこなくていいよ。僕は気にしていない」
「ねぇ、今度の休みにはコロイド様とお出かけになるそうよ。アクア様が止めるのなら、やめるおつもりだと聞いたのだけど――」
「報告しなくていいって。僕は気にしていないんだ」
女の子は本当に噂好きだ。普段は絶対に女の子が僕に話しかけることなんてないのに、何人もの子が寄ってきた。少しげんなりする。わざわざ人の反応を見て楽しもうだなんて悪趣味だ。
パトリシアなら、誰とでも上手くやってしまうだろう。コロコロと笑って、楽しい話題を出して好きになった相手と――、あーあ。考えたくない。考えたくないから、誰も僕に話しかけないでほしい。
「なぁ……アクア」
パトリシアの友人を追い払い、広い談話室で一緒に趣味であるクロスワードを考えていた友人が突然呆れ顔をしながら声のトーンを変えて僕に話しかけた。
「なに? このクロスワードは好みじゃない?」
「あー……、俺が何か言うのはおかしいと思って今まで言わなかったんだけどさ」
「ん?」
「パトリシア嬢はお前のことが好きだと思うぞ?」
「そんなわけがないよ、僕は振られたんだ。そんなことより、この問いだけどさ――」
僕のことを好きになる子なんていない。このまま惰性でパトリシアと一緒になれたらなんて考えていたけど、もう無理だろう。恋愛ごとは苦手だし、時が流れるままに任せよう。
友人が言った。
「仕方ないな。アクア、パトリシア嬢からの伝言を伝えるよ」