優等生じゃなくて良いんだよ
プロローグ
○朝の教室
「おはよう、朝日奈!」

「あっ、おはよう」

「あの朝日奈様、この課題教えてくれ〜」

「またなの?」

「すみません」

「やっぱり朝日奈は優等生だな」

「褒めても何も出ないよ〜」

これは、誰からも頼りにされる優等生の私こと"朝日奈ひな"の日常。

頼られるのは嫌じゃない。

だって、自分の存在を認められている気がするから。

でも、一人だけ私に強く当たる人がいた。

「はぁ、またやってんのか」

「月影」

「優等生いつまで演じてんだか」

この男子は、月影(つきかげ) (よる)。誰に対しても厳しい一匹狼だ。

でも、その言葉には、いつもハッとさせられる。

だけど、私は…

「ちょっと月影君、朝日奈は正真正銘の優等生なんだから、そんなこと言わないでよ」

「ほんとだよな、朝日奈の事何も知らないだろ」

みんなのイメージから抜け出せない。

「みんな言い過ぎだよ。ね?」

「朝日奈が言うなら」

「うん」

だから、みんなを止める事しかできない。


○屋上 昼食時間

「やっと一人になれた〜」

先生からの信頼もあり、特別に屋上を使わせてもらっている。

「一人じゃなくて、二人だろ」

「月影くん!?」

なんでいるの?

私のこと嫌いじゃないの?

「なぁ、俺の彼女にならない?」
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