激モテ生徒会長の暗証番号は子猿な私の誕生日と一緒~こんな偶然ってあるだなぁ、と思っていたらなんだか溺愛されてるような?~
第2話 『恋愛対象外』だと笑われた私が、激モテな聖道くんの彼女!?



〇生徒会室(前話の続きから)



ノートパソコンの前で、るるは目を見開いている。



るる(聖道くんが教えてくれた暗証番号の『0105(ゼロイチゼロゴ)』って、私の誕生日と一緒だ!)



るるの頭上に、『0105』と『1月5日』が並んで表示されている。



るる(こんな偶然ってあるだなぁ)



すると仁礼が大きなため息をついた。



仁礼「俺ほんとは今日デートだったのになぁ」



仁礼の言葉を聞いて、「え」とるるが驚く。

そんなるるの反応を気にするように、隣に座る政近がパソコン画面から視線を動かしてチラリと見た。



るる「浅美くん彼女いるんだね。前はいないって言ってたけど」

仁礼「んー彼女じゃないよ。デートする相手なだけ」

るる「デートするけど、彼女じゃないの……?」



るるの頭上に『?』マークが複数浮かんでいる。



るる(『恋愛対象外』の私にはわからない世界だ……)



『恋愛上級者』のタスキがかかった仁礼のデフォルメ。



――浅美くんは校内で聖道くんの次に女子から人気がある。もし聖道くんと別の高校だったらモテ度はダントツで一位だったと思う――



仁礼「ねーるんるん、聞いてよ」



仁礼は話しながら手を伸ばし、机に置いてあったチョコの包みを開け中身を口に入れている。



――浅美くんは私のことを「るんるん」と呼ぶ。その方がしっくりくるかららしい――



仁礼「今日のデート断ったらさぁ、俺なんて言われたと思う?」

るる「きつい言葉で怒られた、とか」

仁礼「やっぱり聖道くんのことが好きなんでしょ、だって」

るる「え、そうなの?」



違う違う、と笑いながら否定するように顔の前で仁礼が手を振っている。



仁礼「なんかさぁ、俺と政近が恋人同士なんじゃないかって噂になり始めてるんだよねぇ。どうしたらいいんだろ」

政近「そんな噂、気にしなければいい。むしろ噂があった方が、余計な告白が減っていいかもしれないぞ」



パソコン画面を見つめながら、冷静な表情で政近が告げた。



仁礼「やだよー、俺は女の子からモテたいんだよ。噂になってるのは政近のせいなんだから、なんとかしろよぉ」

政近「どうして俺のせいなんだ。噂を流したのは俺じゃないからな」

仁礼「政近さぁ、前は『無理』って一言だったのに一学期の終わりごろから『好きな人としか付き合わない』って言って告白を断ってるだろ」

政近「本当のことを言って何が悪い」

仁礼「どんなに美女でもダメなのは、関係を公言できない俺とすでに付き合ってるからだって思われてるらしいよ。生徒会の関係で一緒にいる時間が長いから、仲良く見えるみたい」

政近「そんな噂どうでもいいから、今は仕事しろ」



政近は我関せずといった感じでパソコン画面に向かって作業している。

ふと仁礼が、何かいいアイデアを思いついたような表情になった。



仁礼「そっか、政近とるんるんが付き合えばいいんだ!」

政近「な」

るる「へ」



仁礼の言葉に、政近とるるが驚いている。

るるの顔が赤いが、政近の方が顔が赤い。



政近「なに言ってんだ浅美。小笹さん、と、付き合えばいいなんて」



るる(珍しく聖道くんが動揺してる)



仁礼「フリだよフリ、偽装恋人。そうすれば政近は余計な告白が減るし、俺たちの噂も消えるしWin-Winの関係じゃん」

政近「小笹さんにメリットが何もないだろ」

仁礼「ほら前にさぁ、るんるん恋愛に憧れはあるって言ってたよね」

政近「恋愛……そういう話、俺とはしたことがないのに」



心なしか政近が、つらそうな表情をしている。

そんな政近を無視して、仁礼はるるに話しかけた。



仁礼「だから政近に疑似体験させてもらいなよ。ね、どうかな、るんるん」

るる「ダ、ダメだよ私なんか。もっと美人な子の方がいいと思う」

政近「確かに美人っていう感じではないな」



正直な政近の言葉に、るるはハッと鼻で笑うような表情になっていた。



るる(そりゃぁ、誰でもそう思うよねぇ)



そんなるるを、政近は優しい眼差しで見ている。



政近「小笹さんは、すごく可愛い」

るる「かッ!?」



自分へ向けられている政近の甘い笑みに動揺したるるの顔が、真っ赤になった。



るる(え、いま聖道くん私のこと可愛いって言った……? 今日ってエイプリルフールだっけ、いや違う。あ、そうか、からかってる? いやでも、聖道くんって人のことをからかったりしないと思う……。実は塩対応を秘かに気にしていてお世辞の練習中とか……?)



動揺している間に政近と仁礼がなにやら話している。

そして政近から「小笹さんは……本当にいいのか?」と話しかけられているが混乱中のるるは無意識に「うん?」と答えてしまう。



政近「わかった」



政近の言葉でハッと我に返るが、るるはまだ状況が飲み込めない。



るる「え、と……?」

仁礼「偽装だけどふたりは恋人同士ってことで、俺がモテるためにもよろしくね、るんるん」



戸惑うるるに、政近が蠱惑的な笑みを向けた。



政近「今から俺と小笹さんは彼氏と彼女だ」




るる(えええっっつ!?)



――『恋愛対象外』だと笑われた私が、激モテな聖道くんの彼女!?――





〇教室(昼休み)



昼ご飯を食べるために教室内廊下側の席で座っている、るるとリコとかやの。

リコとかやのは、悩んでいるような表情のるるを心配そうに見つつ食べ始めているが、るるはまだお弁当の包みを開けてもいない。



(回想)

政近「今から俺と小笹さんは彼氏と彼女だ」

蠱惑的に微笑む政近。

(回想終了)



るる(昨日のあれは冗談だったのかなぁ)



るるに、クラスメイトの女子がふたり話しかけてきた。



クラスメイト女子1「ねぇねぇ、生徒会長の聖道くんと会計の浅美くんが付き合ってるって、本当?」

クラスメイト女子2「副会長の子猿ちゃんなら生徒会で一緒だから知ってるかと思って」

仁礼「違うよ~、付き合ってるのは生徒会長と副会長」



廊下側の開いた窓から、仁礼が顔を出し会話に入ってきた。

仁礼の隣には政近も立っている。



仁礼「政近とるんるんは彼氏と彼女♪」



政近とるるを順番に指差した仁礼。

校内1位、2位のモテ男子登場と仁礼の発言で、えええー、と教室と廊下の両方から悲鳴が上がった。



仁礼「政近が彼女のるんるんと一緒にお昼食べたいんだって」

るる「え、でも……」



るるは一緒にお昼を食べようとしていたリコとかやのの方を気にしている。



リコ「いいよいいよ行っておいで」

かやの「あとで詳しく教えてね」



かやのとリコは彼氏一筋で政近と仁礼に恋愛感情がないため、るるにとって初めての恋愛的な状況を微笑ましく思いながら手を振っている。





〇中庭(昼休み)



るるを真ん中に、中庭でベンチに座っている政近と仁礼とるる。

政近と仁礼は購買で買ったらしきパンの袋を持っている。



政近「昼食なら生徒会室でもよかったんじゃないか?」

仁礼「中庭でイチャイチャした方が付き合ってるアピールできるじゃん」



るるは真ん中でひきつった表情をしている。



るる(私、本当に聖道くんの彼女(偽装)になっちゃったんだ!?)




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