もっと、甘くして。
ある日、高山くんが丁度帰ろうとしていた時。
私は勇気を振り絞って、一緒に帰ろうと声をかけた。
でも、それが災いを呼んだんだ。
「高山くんっ!......一緒に帰らない...?」
私にしては頑張ったと思う。
でもそれが一瞬にして崩れた。
「...なんで?どうして俺が橋本と帰らなきゃいけないわけ?」
「え…」
「最近、鬱陶しんだよ。俺に話しかけてくんな」
そう言って走って帰ってしまった。
なんでそんなことを言ってきたのかは今でも分からない。
ただ、私が好きだった、優しくて明るい高山くんはもういないことに気づいた。
「なんでっ…?」
涙が溢れてくる。
辛い…好きな人にあんなことを言われて。
私の心にはぽっかりと穴が空いてしまった。
……大人しい地味な私が、出しゃばったからだ。
そんなことを自分に言い聞かせて、攻め続けた。
……もう、恋なんてしない。
……もう、恋なんてできないと。