高貴な財閥夫婦の秘密
「――――那留くん、美奈さんも!
もっとくっついて?」

那留と美奈のツーショットを、梨良が撮る。
寄り添っている写真や、那留が美奈をお姫様抱っこしている写真など……
那留のタキシード姿もこれが最後だからと、梨良が言ったからだ。

そして知嗣と梨良も同じように美奈が沢山の写真を撮り、知嗣と那留、梨良と美奈のツーショット、四人でのショットなど……沢山の写真を撮った。

写真を撮っているこのわずかな時間だけ、四人は終始笑顔だった―――――――


そして………知嗣と美奈、那留と梨良でタクシーに乗り、その足でそれぞれの婚姻届を出して、四人で住む自宅に向かった。

タクシーが、屋敷の前に止まる。
それぞれ降りた。

丘の上のポツンとある二世帯住宅。
周りには何もない。

でも、何処で誰が見てるかわからない。

“少しの油断も許すな”
四人で決めた、誓約。

梨良は那留に寄り添い、美奈も知嗣に寄り添う。

そして玄関を入り、施錠してから……

梨良と美奈が“愛する人”の元へ向かった。


「―――――知くん!」
「フフ…やっと、二人っきりだね!」

嬉しそうに笑う知嗣に、梨良も嬉しそうに微笑んだ。
そして、美奈を呼んだ梨良。

「美奈さん!」

「ん?」

「美奈さん、貴女には特に辛い思いをさせてごめんなさい!」
丁寧に頭を下げる、梨良。

「え?え?
梨良!?
頭、上げて!」
慌てて、梨良に駆け寄る美奈。

「だって私は、あなたの愛する人と“結婚式をした”
そんな辛い光景を、ずっと見せてしまった」

「そんなこと……
それなら、梨良にとっても同じ!
それに私は、それでも幸せよ!」

「美奈さん…」

「言ったよね?
例え家の中でだけでも、那留といれるだけで幸せだって!
だから、平気!」

「美奈さん…ありがとう!
……………フフ…!やっぱりあなたは、素敵!
那留くんが好きになるのがわかる!」

「そんな…//////
でも、私思うの。
“梨良が、那留の奥様で良かった!”って!」

「え?」

「幼なじみとして、親友として…私も梨良が好きだし!
純粋で、真っ直ぐで、穏やかで……
それでいて、綺麗で可愛らしい」

「ありがとう//////
でも、照れるね//////
私こそ、美奈さんのような凛としてて素敵な女性が、知くんの奥様で良かった!」

「フフ…!」

微笑み合う梨良と美奈を見て、知嗣と那留も微笑んだ。


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