高貴な財閥夫婦の秘密

【切ない初夜】

そして………

こちらは、知嗣と梨良。

「―――――知くん、コーヒー淹れようか?
ゆっくりしよ?」
キッチンに向かおうとする梨良。

それを知嗣は制し、腕の中に閉じ込めた。

「え……知くん?」

「いらないよ」

「そう?」

「梨良しかいらない」

「……/////うん…!」
梨良も、知嗣の背中に腕を回した。

そして………ソファに座った知嗣の膝に跨いで抱きついている、梨良。

「幸せ…」
知嗣に頭を撫でてもらい、幸せに浸っていた。

「梨良」

「んー?」

「キスしたい」

「フフ…うん!」
知嗣に向き直る。

知嗣が、梨良の頬を包み込んで口唇をなぞった。
梨良は嬉しそうに目を瞑る。

いつもならここで知嗣の顔が近づき、キスを交わす。
しかし………

「ん?」
知嗣の表情が険しくなり、梨良の頬や額に触れる。

「知くん?」

「梨良、熱いよ?
熱があるんじゃ……」

「え?そりゃあ、知くんとくっついてるんだもん!
興奮してるもん(笑)」

「いや、そんな熱さじゃない。
熱、測ろうね」

梨良を膝から下ろし、体温計を持ってくる。
測ると、38.7度を表示していた。

「梨良、今日は休もう!」

「え?まだ、ラブラブし足りない……!」

「それは、明日ね?
てゆーか、きつくないの?こんな熱で……」

「んー、きついけど、今日は結婚式だったから、疲れてるのかな?って」

「そんな呑気な……
とにかく、横になろう。
大丈夫。
那留と話して、一週間の仕事休みを取って、その間はずっと家の中にいようって決めてるから、離れることはないよ?
ね?明日から沢山ラブラブ出来るように、休も?」

「………うん、そうだよね…」

寝室に移動し、ベッドに横になる梨良。
知嗣が「ずっと、傍にいるからね!」と優しく微笑み、頭を撫でていた。

しかし、しばらくすると………

「………これ…」
梨良の体温は、40度まで上がっていた。

「梨良、病院行こうね」

「はぁはぁ…え…
い、嫌!
病院、行ったら、那留くんと美奈さん、に…迷惑、かけ、る…」

「そんなこと言ってる場合じゃ――――――」
「それに!!!
知くんと、できる限り…離れ…くない!!!」

「梨良…
それでも、ダメだよ!!」

知嗣はスマホを取り、那留に電話をかけた。


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