高貴な財閥夫婦の秘密

一方の那留と美奈も、朝食をとっていた。

ダイニングテーブルに向かい合い、他愛もない話をしながら食事をしている。

「――――あ、その蓮根の挟み揚げどう？」

「ん？これ？
うん、旨いよ！
フフ…最近、腕上げたな！
しかも、こんな凝った料理」

「フフ…梨良のおかげなの！」

「梨良？」

「最近、梨良に料理教えてもらってて！」

「そうゆうこと(笑)
つか！トモは毎日こんな凝った料理食ってんの！？」

「そうね(笑)
朝から旅館の料理みたいに手が込んでて、美味しいのよ！」

「スゲー！」

「これからも、余裕がある時に梨良に教えてもらうつもり！」

「そうか！
楽しみだな！」
　
「………」
微笑みご飯に箸をつける那留を、見つめる美奈。

「ん？どうした？」

「梨良は、凄いよね…」
ポツンと呟く。

「は？」

「梨良って凄く可愛いし、料理は美味しいし、家の中はホコリ一つない。
知嗣さんのスーツや服も、いつも綺麗でカッターシャツなんて糊が効いてる。
ネクタイもね、いつも梨良が決めてくれるんだって！
これが！センス、良いのよ！
どれを取っても、完璧！
なのに気取ってなくて、控えめで、癒される。
梨良みたいな女性を、奥様ってゆうんだろうね！
…………私なんか、全然……ダメ…(笑)」

「………」
途端に不機嫌になり、黙々とご飯を食べだす那留。

「………那留？どうし―――――」

「俺の好きな女を悪く言うなよ」
鋭く睨み言った、那留。

「は？私は、梨良を褒めて……」

「そうじゃねぇよ！
美奈を悪く言うなっつってんの！」

「え？」

「確かに梨良“も”良い女だと思う。
美奈が言ったように、梨良こそ、可愛い奥様って感じだし。
でもな！！
俺にとっては！美奈が一番良い女だ！！
美奈には、美奈の良い所が沢山ある。
言ってたらキリがなくなるくらいにな！
なんで比べんの？
美奈と梨良は性別が同じなだけで、何もかもが違う。
主婦業は完璧でも、梨良は働いたことがねぇ。
だから梨良に、美奈のような働きは無理だ。
お前、言ってたじゃん。
今、先月の売り上げ２位まで上がったって！
その年でそれって、スゲーじゃん！
これの何処が、梨良に劣るんだよ！」

「那留…
…………そうだよね…///////
ごめんなさい…」

「もう二度と、俺の好きな女をけなすな！」

「うん！ありがとう！」

那留が、美奈の頭を軽く叩く。
美奈は照れながらも、嬉しそうに笑った。