高貴な財閥夫婦の秘密
【経緯】
一昨年のクリスマス。
その頃知嗣と梨良、那留と美奈はそれぞれ内緒で交際していた。
「―――――知くん、大切なお話があるの」
「ん?」
知嗣とホテルのスイートルームで、クリスマスデートをしていた梨良。
梨良の身体が弱いので、二人のデートはいつもホテルの一室で過ごすのが通例だ。
知嗣も、あまり外を出歩くのは好きでない。
そのため、愛する梨良と二人っきりで過ごせるこの時間は、至福の時間だ。
梨良は思い詰めたような表情で、知嗣を見据えていた。
ソファに並んで座り、梨良を横から包み込み頭を撫でていた知嗣。
構えたように、梨良に向き直った。
「…………私…」
「ん?
…………梨良?どうしたの…!?
どうして泣くの!?」
涙を流す梨良の目元を拭い、顔を覗き込んだ。
「私……と…わ、別れ…て、くださ…」
涙がどんどん溢れてきて、言葉にならない。
「………」
知嗣が固まってしまう。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」
梨良は涙を拭うこともせず、ただ…謝罪の言葉を繰り返す。
「どう…して?
僕、君に何か嫌われるようなことしたかな?
梨良、お願い!
考え直して?
悪いところは全部、直すから!!」
「違うの!
知くんは、何も悪くないよ!!
悪いのは……私が“瀬野川”だから……!」
「え?」
「私、那留くんとの結婚が決まったの」
「は?
那留…と……?
でも、那留は……」
「那留くんも、美奈さんに今日話すって言ってた」
「………それって」
「うん。
私達は、昔からそうなることが決まってた。
来年知くん達、大学卒業するでしょ?
それは知くんも知ってるよね?
それを、阻止できなかったの……
ごめんなさい」
「そうゆうことか……
でも那留は、この事納得してるの?
あの那留が納得するとは思えない」
「してるわけない」
「そうだよね…」
「那留くんも、美奈さんと離れたくないって言ってるよ。
でも、無理だよ……特にパパは、恐ろしい人だから……」
「………」
知嗣が口をつぐむ。
そう。
梨良の実家・瀬野川財閥は、No.1の財閥と言われていて、瀬野川一族に敵う者はいないと言われている。
「知くんと駆け落ちとか考えたの。
でもきっと……」
「“何処に逃げても”100%見つかる」
梨良が頷いた。
「きっと、その後は“二度と”梨良と会えない」
その頃知嗣と梨良、那留と美奈はそれぞれ内緒で交際していた。
「―――――知くん、大切なお話があるの」
「ん?」
知嗣とホテルのスイートルームで、クリスマスデートをしていた梨良。
梨良の身体が弱いので、二人のデートはいつもホテルの一室で過ごすのが通例だ。
知嗣も、あまり外を出歩くのは好きでない。
そのため、愛する梨良と二人っきりで過ごせるこの時間は、至福の時間だ。
梨良は思い詰めたような表情で、知嗣を見据えていた。
ソファに並んで座り、梨良を横から包み込み頭を撫でていた知嗣。
構えたように、梨良に向き直った。
「…………私…」
「ん?
…………梨良?どうしたの…!?
どうして泣くの!?」
涙を流す梨良の目元を拭い、顔を覗き込んだ。
「私……と…わ、別れ…て、くださ…」
涙がどんどん溢れてきて、言葉にならない。
「………」
知嗣が固まってしまう。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」
梨良は涙を拭うこともせず、ただ…謝罪の言葉を繰り返す。
「どう…して?
僕、君に何か嫌われるようなことしたかな?
梨良、お願い!
考え直して?
悪いところは全部、直すから!!」
「違うの!
知くんは、何も悪くないよ!!
悪いのは……私が“瀬野川”だから……!」
「え?」
「私、那留くんとの結婚が決まったの」
「は?
那留…と……?
でも、那留は……」
「那留くんも、美奈さんに今日話すって言ってた」
「………それって」
「うん。
私達は、昔からそうなることが決まってた。
来年知くん達、大学卒業するでしょ?
それは知くんも知ってるよね?
それを、阻止できなかったの……
ごめんなさい」
「そうゆうことか……
でも那留は、この事納得してるの?
あの那留が納得するとは思えない」
「してるわけない」
「そうだよね…」
「那留くんも、美奈さんと離れたくないって言ってるよ。
でも、無理だよ……特にパパは、恐ろしい人だから……」
「………」
知嗣が口をつぐむ。
そう。
梨良の実家・瀬野川財閥は、No.1の財閥と言われていて、瀬野川一族に敵う者はいないと言われている。
「知くんと駆け落ちとか考えたの。
でもきっと……」
「“何処に逃げても”100%見つかる」
梨良が頷いた。
「きっと、その後は“二度と”梨良と会えない」