高貴な財閥夫婦の秘密
「梨良、大丈夫か?
疲れてないか?」

いつも会計後、少し休憩してから帰る四人。
梨良が気疲れするからだ。

「コーヒー買ってくるよ」
知嗣が声をかけ、テイクアウトのコーヒーを買いに行こうとする。
「あ、じゃあ、私も行くわ。
一人じゃ持てないだろうし」
美奈が知嗣を追った。

「あ…」
梨良は思わず、知嗣を切なく見つめてしまう。

「ん?梨良?」

「う、ううん!」

「…………美奈も、梨良といろよ。
トモ、俺も行く!」

那留が知嗣と行き、美奈は梨良の隣りに座った。

「梨良、大丈夫?」
「うん…」

「梨良?」

「美奈さんは、強いね……(笑)」
そう言って切なく笑う、梨良。

「え?」

「きっと、美奈さんも私と同じくらい辛いはず。
でも美奈さんは、それを絶対に見せない。
私はこんなたった数分、知く……あ、彼と離れるだけで苦しくてつい、目で追ったり声をかけてしまったりしてしまうのに」

「梨良…」

「お付き合いしてる時はね。
ここまでなかったんだよ?
確かに私は彼に甘えてたし、デートからお家に帰る時は“離れたくない”ってワガママ言っちゃって彼を困らせてた。
でも、こんな風にたった数分離れるくらいではここまでならない。
なのに……
やっぱ、普通じゃないからかな?
たった数分離れるだけで、苦しい……」

「私はその分、家の中で甘えてるよ?」  

「え?そうなの?
意外……」

「そうかな?」

「想像、つかない(笑)」

「フフ…梨良が言ってたように見せないからね、私」

「フフ…そっか!」

「それにね!
…………あ、変な意味で聞かないでね?
知嗣さん相手だからっていうのもあるからかも?」

「え?」

「実は、そこまで辛くないの。
やっは、幼なじみだからかな?
知嗣さんのこと、嫌いとか苦手とかじゃないし。
ほら、梨良だってそうでしょ?
那留とは幼なじみでずっと仲良いわけだから、嫌とか苦手意識はない」

「うん、確かにそうだね…!」

「あとは、梨良が言ってたように“那留のお嫁さんが梨良だから”
だから安心してるし、信用出来るから!
私も、梨良のこと好きだもん!」

「……/////フフ…ありがとう!
私も大好き!」


梨良と美奈が微笑んでいると、知嗣と那留が戻ってきて首を傾げた。

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