高貴な財閥夫婦の秘密

「どうした？」
「どうして笑ってるの？」

那留と知嗣が不思議そうに言った。　　

「フフ…内緒！
ね？美奈さん」
「えぇ！内緒！」

「まぁ、楽しそうなら良いけどよ」

「そうだね！
はい、コーヒー！
美奈は、ブラックだよね？」

「えぇ、ありがとう！」

「梨良は紅茶な！」

「ありがとう！」

飲み物をゆっくり飲んで、四人は車に戻った。


自宅に帰宅途中。
美奈のスマホに着信が入った。

「………はい。
うん、大丈夫よ！
………え？うーん…悪いけど、それは難しい。
言ったわよね？知嗣さんは、忙しいの。
………うん、うん、そうよ！休みの日も仕事したりするんだから！
………んー、わかった。
聞いてはみる。でも、期待はしないで？」

通話を切り、息を吐いた美奈。
隣から梨良が「大丈夫？」と声をかけてきた。

「えぇ…」

「美奈さん？」

「明日のこと？」
運転席から、那留が言った。

「うん」

「まだ、言ってきてんの？
しつけぇなぁー！！」

「うん…」

「つか！
だったら美奈も、会わなくて良くね？
俺だって、美奈といたいし！」

「でも、仲良い子達だから……」

「……………なんなの？」
知嗣が、後ろを振り向く。

「あ…
明日、高校の時の友達に会うの。
結婚の報告とかしたくて……
で、その時に旦那さん…つまり、知嗣さんも連れてきてほしいって言われて……」

「そうゆうことか……！」

「…………知嗣さん、無理よね？
お休みの日だし」
窺うように言う、美奈。

「うん…そうだね…
そうゆうのは、ちょっとね…
ごめん…」

「だよね…(笑)
大丈夫！気にしないで？」

困ったように眉をひそめる知嗣に、美奈は安心させるように微笑んだ。

「……………知くん、行ってあげて？」
そんな二人に、梨良が言い放った。

「「え？」」
知嗣と美奈が、梨良を見る。

「私は大丈夫だから！」

「でもほら、明日は休みだし。
休みの日は、恋人同士で過ごそうって……」

「美奈さん、気を遣わないで？
お互い様でしょ？
大丈夫。
今日帰ってから、沢山知くんを充電するから！」

「梨良…
ありがとう……！」

「うん！
知くんも、行ってあげて？」

「………」

知嗣は、梨良にそう言われて頷くしかなかった。