高貴な財閥夫婦の秘密
「―――――……美奈、ごめんね」
帰りの車内。
運転しながら、知嗣が謝罪する。
「え?」
「つい、感情的になっちゃった」
「う、ううん大丈夫!
それよりも、今日ありがとう!」
「…………ほんと…自分でも、抑えられないんだ……」
「え?知嗣さん?」
「梨良と那留の結婚が決まったって聞かされた二年前から……」
「………」
「梨良の言動に一喜一憂したり、動揺なんてしたことないのに、動揺して感情的になったり。
さっきみたいに、冷静でいられない……」
「………」
「…………それに…昨日の梨良の言葉は堪えたな……(笑)」
「え…?」
「“美奈さんの旦那さんは、知くんでしょ?”って」
「そう…なんだ…
梨良が……」
「わかりきってることだけど“梨良の口からは”聞きたくなかった」
「そう…よね…」
「………」
「………」
「美奈を好きになれたら、どんなに楽だろうってよく考えるんだ。
美奈のこと、嫌いじゃない。
幼なじみだし、高校は別だったけど、大学は一緒だったんだし。
……………でも……
でも、僕は“梨良じゃないとダメなんだ……!”
梨良の全てが好き。
細くて小さな身体も、いつも穏やかで優しい性格も、ふわりと笑う笑顔も、甘えん坊で僕から離れないところも……全部……!」
しばらく沈黙が続いて、知嗣がポツリポツリと言い出す。
「私も、那留の全部が好き……!
そしてきっと、那留も梨良も!!」
「フフ…そうだね(笑)」
「大丈夫!
ずっと、あの屋敷で四人で暮らせばいい!
……………ね?知嗣さん!」
「うん、そうだね」
しかし知嗣は、なんとなく悟っていた。
きっと、こんな危ない関係は……そう長くは続かないだろう………と―――――――
知嗣と美奈が屋敷に帰り着き、中に入ると………
「あ、おかえりー」
那留と梨良が、玄関で待っていた。
そして梨良は、廊下に横になっていてタオルケットが掛けられていた。
「何してるの?(笑)」
知嗣と美奈が、クスクス笑う。
「あー、梨良がさー
“一秒でも早く、知くんに会いたい!だから、ここで待つの!”って言って聞かねぇんだよ!
そのクセ、寝ちまった……(笑)」
「そう(笑)
可愛いな、梨良」
「フフ…梨良らしい!(笑)」
「ほんとはさ。
さすがに廊下に寝せるのは可哀想かなって、抱えてベッドに寝かせようかと考えたんだが……それでも、トモは嫌かなって。
昨日の今日で、例え相手が俺でも“梨良に触れられたくないんじゃねぇかな”って思ってさ」
「そっか!
うん、ありがとう!
その気遣い、嬉しい!」
そう言って知嗣は、梨良を抱き上げた。
そして「じゃあ、僕達行くね」と言った。
「えぇ!
知嗣さん、今日はありがとう!」
そして今日もまた、四人は狂おしい夜を過ごしたのだった。
帰りの車内。
運転しながら、知嗣が謝罪する。
「え?」
「つい、感情的になっちゃった」
「う、ううん大丈夫!
それよりも、今日ありがとう!」
「…………ほんと…自分でも、抑えられないんだ……」
「え?知嗣さん?」
「梨良と那留の結婚が決まったって聞かされた二年前から……」
「………」
「梨良の言動に一喜一憂したり、動揺なんてしたことないのに、動揺して感情的になったり。
さっきみたいに、冷静でいられない……」
「………」
「…………それに…昨日の梨良の言葉は堪えたな……(笑)」
「え…?」
「“美奈さんの旦那さんは、知くんでしょ?”って」
「そう…なんだ…
梨良が……」
「わかりきってることだけど“梨良の口からは”聞きたくなかった」
「そう…よね…」
「………」
「………」
「美奈を好きになれたら、どんなに楽だろうってよく考えるんだ。
美奈のこと、嫌いじゃない。
幼なじみだし、高校は別だったけど、大学は一緒だったんだし。
……………でも……
でも、僕は“梨良じゃないとダメなんだ……!”
梨良の全てが好き。
細くて小さな身体も、いつも穏やかで優しい性格も、ふわりと笑う笑顔も、甘えん坊で僕から離れないところも……全部……!」
しばらく沈黙が続いて、知嗣がポツリポツリと言い出す。
「私も、那留の全部が好き……!
そしてきっと、那留も梨良も!!」
「フフ…そうだね(笑)」
「大丈夫!
ずっと、あの屋敷で四人で暮らせばいい!
……………ね?知嗣さん!」
「うん、そうだね」
しかし知嗣は、なんとなく悟っていた。
きっと、こんな危ない関係は……そう長くは続かないだろう………と―――――――
知嗣と美奈が屋敷に帰り着き、中に入ると………
「あ、おかえりー」
那留と梨良が、玄関で待っていた。
そして梨良は、廊下に横になっていてタオルケットが掛けられていた。
「何してるの?(笑)」
知嗣と美奈が、クスクス笑う。
「あー、梨良がさー
“一秒でも早く、知くんに会いたい!だから、ここで待つの!”って言って聞かねぇんだよ!
そのクセ、寝ちまった……(笑)」
「そう(笑)
可愛いな、梨良」
「フフ…梨良らしい!(笑)」
「ほんとはさ。
さすがに廊下に寝せるのは可哀想かなって、抱えてベッドに寝かせようかと考えたんだが……それでも、トモは嫌かなって。
昨日の今日で、例え相手が俺でも“梨良に触れられたくないんじゃねぇかな”って思ってさ」
「そっか!
うん、ありがとう!
その気遣い、嬉しい!」
そう言って知嗣は、梨良を抱き上げた。
そして「じゃあ、僕達行くね」と言った。
「えぇ!
知嗣さん、今日はありがとう!」
そして今日もまた、四人は狂おしい夜を過ごしたのだった。